[No.3603]
#101「きみが来た場所」喜多川 泰
インフルエンザに、家族リレーで罹ってしまい、日頃の健康のありがたさを痛感したところです。一人暮らしで扁桃腺が腫れてしまって、3日くらい寝込んだ頃のことを思い出しました。
遺伝的に扁桃腺が大きいので、腫れると唾を飲み込むのも痛くなり、水分が不足し、汗も出ないから熱も下がらず、食べないから力は出ない、という負のスパイラルになりがちでした。
母から送られていた解熱薬や扁桃腺腫れ用の経口抗菌の薬を飲んで寝るだけでした。寝れずに一人でぼーっと天井を見ていると、このまま治らなかったらどうしよう、とか、ひとりぼっちのさみしさが強くなったものです。
この本の中に、キャンディーが出てきます。舐めると、寝てしまい、夢の中で自分の祖父母や両親の昔の話を体験できるのです。
拙者も、母や祖母に看病してもらってことを、このインフルエンザに罹って寝ていた時に思い出していました。今こうやって寝ているのを見て、どんなことを言うかな、とか考えているうちに、もう話せないさみしさと、母や祖母のやさしさを思い出して、ちょっとホッコリしたこともあり、この本に感情移入しました。
自分の両親の両親、つまり自分の前に2人の親がいて、それぞれに2人の親がいますから、父方の祖父と祖母、母方の祖父と祖母がいなければ、自分は生まれていない訳です。父や母の幼少期の話、戦後の大変さも話では聞いていました。母方の祖母の家そばには防空壕があったことも聞いたし、見ました。温かい白いお米を食べることの希少性、大家族で寄り添い、おかずを分け合いながらの生活、自分の親も激動の時代を生き抜いたことを思い出します。
父は終戦前に、海外から引き揚げてきたものの、祖父を病気で亡くして、3歳上のお兄さんが小学高学年の頃から、家族のために働いた、と聞きました。
今、拙者がこうしていられるのも、祖父や祖母、父や母が生き抜いてきた証、おかげです。そんなあたり前のことに、この本を読んで気がつきました。2024年のうちに気づけて感謝です。
子供を育てるのが親の使命、という言い方もありますが、この本では、親が生きる使命を子供に教わる、という表現をされています。最近、子供に何かをしてあげるのではなく、子供に気付かされることも多いな、と感じていたのです。
永遠に続く今、今日は昨日不安に思っていた未来、そんな表現にもいろんな思いが膨らみます。将来に不安を感じすぎずに、半ば楽観的に前向きに生きることも感じられた本です。
おそらく、拙者のこのつぶやきを読んでも、この本のよさはあまり伝わらないような気がするのですが、ご先祖の事も思えて心がジンワリ、読んでよかったと思います。
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