ちょっとした事で不意に

[No.2088]

ちょっと悲しい気持ちをこぼすようですが、つぶやきます。

母には、これまで名刺が変わる度に新しい名刺を数枚渡していました。
昇進だったり、異動だったり、転職だったり、組織変更だったり
いろいろでしたが。

リビングの飾り棚の片隅に置いてあって、親戚のおじさんおばさんや
いとこ達に、拙者の仕事の様子を説明するのに使って、
と言って渡していました。

先日の葬儀の準備やなにやらかんやらで、
母のバッグの中を確認したのですが、財布の中に探し物はないか、
と財布を開けますと、仕切りのあるカード類の収納ポケットに
拙者の一番新しい名刺が1枚入れてありました。

拙者への連絡先として入れておいてくれたのか、
心配だから持っていてくれたのか、
いずれにしても、拙者の名刺は母を守る役としては果たせなかった、ということ。

名刺をそっと財布に入れてくれた時の母の表情を想像すると、
何となく嬉しい気持ちを感じた後に、やっぱりさみしい思いをしてしまいました。

財布に名刺が入っているなんて、本当にちょっとしたことですが、
母の思いを察するには、十分過ぎます。