#42「SOSの猿」伊坂 幸太郎
路上駐車されたクルマの影から、急に人が飛び出してきて、クルマで衝突してしまったら、クルマの運転手が前方不注意として刑罰に処されるでしょうが、そのこと自体に異論はないです。
でも、もし、急に飛び出した人が、歩道を歩いていたら、イヤフォンをしたまま運転する乱暴な自転車に驚いてふらついた結果として、道路に飛び出してしまったとしたらどうでしょう。
もし路上駐車しているクルマがなかったとしたらどうでしょう。
クルマに衝突したという結果については、クルマの運転者が責任を問われるのに、結果の主たる要因である乱暴な自転車や路上駐車した人は、罪に問われる可能性はゼロではないですが、実態としては、罪に問われることはないだろうと思います。
株の発注を誤入力して300億円の損害が発生したのも、前の晩に隣の部屋が虐待現場となってうるさいし、気になって眠れないことによる睡眠不足が影響しているとしたら、システム確認画面を上司に報告するのが上司に煙たがれれた事が多くて、勝手に省略してしまったとしたら、損害発生の要因は、単なる誤入力ではなく、虐待している人やよくない上司のせいであるかもしれません。
法律や常識では裁けない諍いを、孫悟空が成敗してくれる爽快さはあります。いろんな伏線が張り巡らされているので、読んだことを憶えておかないと、楽しみが減っていく恐怖と戦いながら、一気に読む、がいいのでしょうね。
伊坂幸太郎作品、クセになります、はい。
0 件のコメント:
コメントを投稿