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2025-10-13

読んだ本(2025-#88)銀座「四宝堂」文具店Ⅵ

[No.4010]

#88「銀座「四宝堂」文具店Ⅵ」上田 健次

先日チビ子と行った書店から連れて帰った本です。これまでのシリーズ全部読んでいますし、発売日が近いことも知っていたので、早々にチビ子から見つけた、とLINEが届きました。

銀座で文房具屋と言えば、拙者にとっては伊東屋ですが、古くからある小規模の文房具屋さんもいろいろあるらしいです。ううーん、いろいろ行ってみたい。

本に出てくる登場人物やエピソード、緩くなった涙腺をこれでもか、と刺激してくる感じです。登場人物の昭和の思い出とか、就職まもない頃の心情とか、過疎高齢化の問題を抱える生まれ故郷のこととか、油断すると眼の奥がすぐに熱くなります。

誰かをそっと包んであげる、背中に手を当てて支えてくれたり、そっと押してくれたりする人との関係は、嬉しいものです。そんな人がいてくれるのが銀座四宝堂です。

ビジネスの成果とか仕事の評価が問われる季節をちょうど終えるところです。ここ数年は、自分の評価はもちろん気になりますが、誰かの何かの役に立つ成果だっただろうか、の方が気になります。誰かの、何かの役に立ってこそ仕事、と教えてくれたのは以前勤めていた会社の執行役員でした。プロジェクトの打ち上げで、運良く執行役員の近くに座り、お酒の力もあって何でも聞いていい、と言われたから質問したのです。

サラリーマンとして執行役員になるのはすばらしいキャリアだったり出世だと思うのですが、どんなことを考えながら仕事を頑張りましたか、と。

執行役員はしばらく黙ってしまった後で、「君の質問の答えになっていないかもしれないけど、誰かの、何かの役に立ってこそ仕事だと思ってきたし、今もそう思っている」と教えてくれました。つまり、自分のために仕事をするのではない、という気づきを得たことを、今でも憶えています。主人公 宝田硯(たからだ けん)のお客様への言葉や気遣いを見ると、思い出させてくれました。

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