[No.1010]
#18「エンジェル」石田衣良
自分が殺された場面から始まる話です。
人間が生物学的に死亡後、魂とか霊魂とかという存在になるとしたら、
何ができるか、何をするかが物語の背景にあります。
読み始めて最初は重たい気分になったのですが、読めば読むほど主人公を何となく応援している自分に気がつきました。生前の主人公は、甘ったれた男性であったのですが、自分がなぜ殺されたのかを探るうちに、周囲の人間の違う一面を見たり、生前には気がつかなかった価値観を知ったりします。
この本は、死後何をする、という語り初めでありながら、
実はいかに生きるかを考えさせてくれる本であります。
いろんな事に一喜一憂することも必要ですが、長期的な視点で自分がどうありたいか、周囲にどんな影響(支え合い、助け合い)を与えられるか、拙者にとっては深いテーマでした。
決してハッピーエンドになるはずもない物語なのですが、何となく嬉しい気持ちで読み終えることができたのは、作家のチカラでしょうかねぇ。
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