[No.1617]
#1「オレたち花のバブル組」池井戸潤
吸収合併を何度か経験した銀行で、出世していたり、疎まれて出世していなかったり、
吸収した側、吸収された側の悲哀や機微、これらの出来事が他人事というよりも、
拙者たちの世代もフィットし始めている感もあってか、とても興味深く読みました。
引き継がされた融資先が実は粉飾決算をしており、
その承認は現常務取締役の支店長時代に遡り、経緯は今も不明で誰も関知できず。
金融庁の監査に狙われた事案を担当させられることになった次長半沢が主人公。
組織の壁、吸収合併した側といされた側の軋轢、上司の不正を告発できずに
丸め込まれる部下、融資を獲得するために銀行の言いなりにならざるを得ない企業、
経営体質を変えられず粉飾決算を繰り返す同族企業、と
内容も読み応えあり、スピードもテンポもよく、読後も爽やか。
こりゃいい小説でした。
この小説ほどドラマチックではないにしても、同じような問題やしがらみがあるのが
サラリーマンだと思います。
巻かれるか、巻かれないか、横目に見てやりすごすか、立ち上がるか、
変化を拒むか、進化を目指すか、
平穏のままか、波風を起こすリスクを受けて立つか、
小説の場面を自分に擬えて読んだのですが、とても楽しめました。
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