#8+#9「無理」(上)+(下)奥田 英朗
東北地方の田舎町、娯楽もなく、ショッピングモールでたまる、パチンコか。
大人も日々に疲れ、将来にポジティブな何かを感じることも難しい仕事の毎日。
代り映えのない年月、疲弊し高齢化の進むコミュニティ、都会に出ようとする若者と、どうせ都会に出てもなんともならないから、田舎町に居続ける若者。
物語の舞台は、東京、大阪、名古屋、横浜、京都などの政令指定都市ではない、県庁所在地や雇用創出のある企業が進出している町、以外のあらゆる地方都市が抱える共通の事態だと思います。
希望の持てない今の仕事、恵まれない雇用環境、希望を語らない大人が多い街で起こる出来事。生活保護の不正受給、高齢者のサポート、地盤で幅を利かせる議員と群がる関係者、雇用に恵まれない人々の課題、精神的救済を求める信心の活動、引きこもりの大人、老人の万引きなどが複合的に発生します。
それぞれが、いろんなつながりを持っているの、そうつながるか、と伏線的なつながりを楽しみました。発生する出来事は、ハッピーなことよりも、そうでないことの方が多いですが、いろんなシリアスさの疑似体験としては、十分すぎる内容だと思います。
それでも、どんどん読みたくなる、一気読みしてしまうのは、いいも悪いもどちらの登場人物も、なんとなく憎めない事情があるな、と感じるからだと思います。
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