[No.3930]
#55「絶対悲観主義」楠木 建
アダム・グラントの著作の訳者として知った楠木建氏です。講演会後に実際会話をすることもできたので、勝手に親近感を覚えたりしています。
この本は2部構成のように感じます。前半は絶対悲観主義のマインドセットが有効な事情や状況などが理解しやすいです。きっとうまくいく、というポジティブな楽観主義で乗り切れないリスクを負うよりも、どうせ上手くいかないから、と準備に慎重になったり、成果が出ないことで必要以上に落ち込まないでいいようになるので、絶対悲観主義もいいなあと思いました。
拙者、これまでどちらかというと、なんとかなる、という諦めない気持ちを支えにすることが多かったですが、なんとかなった≒いい成果、と潜在的に期待してしまっている自分に気がつきました。
約20年前の上司であるG部長にも言われたことを思い出します。当時から、絶対悲観主義をG部長は実践していたような気がしてきます。
後半は、人生を如何に豊かに生きるか、楽しく過ごすかのヒントが溢れているように思います。誰彼に遠慮しすぎず、相手に失礼や無礼もないコミュニケーションを取ることができれば、素晴らしい知人と知り合えて、豊か、楽しい時間を過ごせるという仮説への想いを強く持ちました。
幸福を、微分ではなく積分で捉えるというアイデアにも、とても共感を持ちました。
自信あふれる立ち居振る舞い、一橋大学のビジネススクール教授、アダム・グラントの訳者などというキラキラした側面ばかりを知っていましたが、この本で著者の気持ちや心情を知ることができたような気がしました。

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