[Νο.3945]
#61+#62「サウスバウンド(上)+(下)」奥田 英朗
若かりし頃に学生運動をしていた父と母。税制や義務教育の学校に対して、いちゃもんをつけまくる自称作家の父と、なぜだかそんな父を支える母。
小学生の主人公は、社会人の姉と小学生の妹のいる5人兄弟。不良中学生に目をつけられたり、中学生の子分の小学生にからかわれたりの日々。
何かと社会にいちゃもんをつける父をうるさいと感じる中で、父の精神的な肉体的な強さを感じるようになります。いろいろあって沖縄の西表島に引っ越しますが、水洗トイレもない、テレビもない、コンビニもゲームセンターもない環境。東京からの帰省、八重山の歴史的ヒーローの孫として歓迎される父、いろいろ助けてくれる地元民との暮らし。西表島に入り込んでくる都会資本のリゾート開発。そこでも戦い、決して負けない父と支える母。
いろいろな社会制度や報道を、なぜか、本当に必要なのか、どうすべきかを考えることすらせずに、ただ受け入れることも少なくありません。疑問を持つのではなく、スマートにすませることが、あたかも合理的んであるような雰囲気が日常にあることも否めません。
自称作家の父のセリフが、先日お会いできたかつての上司、人生の先輩のアドバイスと重なります。自分で考え抜くこと、が大事だと。
奥田英朗作品、今まで24作品くらい読んでいるようですが、この作品は中でも好きな方にランキングされると思います。会社で働く拙者は、この父のように自分で考え抜いて振る舞うことの難しさを感じますが、家族や友人知人を守るために考え抜いて、行動するのは、持つべき強さだな、と思いました。

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