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2009-04-22

読んだ本(2009-#16)


[No.1007]

#16「資本主義はなぜ自壊したのか」中谷巌
中谷巌教授の本を読んだきっかけは、経済学を勉強しよう(しなければ)と思った時に、現在広島在住の友人H に勧められた「入門マクロ経済学」でした。

ホモ・エコノミクス、需要曲線と供給曲線というような経済学の基礎的な部分を体系的に理解したような気分になれた最初の本でしたし、書かれている文脈が拙者にとってわかりやすかったので、”中谷巌 著”は拙者のお気に入りとなりました。
であるだけに、「資本主義はなぜ自壊したのか」を読んで残念な気持ちになりました。
書評コメントを見ると、”自壊”ではなく、”自戒”では?という指摘にうなづいてしまいます。
市場経済を経済学的に考察する場合の前提である、
1)経済的に合理的な行動のみをとる経済人(ホモ・エコノミクス)
2)売り側と買う側が同じ情報を持っている(情報の対称性)
について、実際にはあり得ないとあっさりと言い切っていらっしゃるようで、そもそも、この前提に立つこと自体が市場経済に対する近代経済学の限界がある・・・

なんですとーっ (・_・) まさに目が点 でございます。
1)と 2)なんて実際にはありえないってことは、
「入門マクロ経済学」を読み始めた日に拙者が最初に感じたことです。
そもそも我々人間は合理的と言うよりも、気分やノリで買い物することも少なくないし、売る側は、買う側をその気にさせたり、時には情報を隠して売りつけようともするから、情報は非対称なものです。
それでも拙者は、出来の悪い拙者の脳味噌を、
”ホモ・エコノミクスによる市場経済は・・・”と必死に自分をだまして、だまし続けて近代経済学の一端を分かったつもりになっていたのですが。
今頃、大御所にアッサリと否定されてしまうと
「いいんですか、そんな素朴な疑問を言ってしまっても」 な気分です。

欧米や新興国と日本との違いを、歴史や文化や宗教にまで関連させて分かりやすく書かれているようにも思いますが、言ってしまいましょう。
”ビールを飲んでいい気分になったおっちゃんが話す事と同じかも”

日本が島国であることに代表される民族性や特徴、勤勉さ等は語りつくされている感があることを体系的にわかりやすくまとめられてはいますが、新しい視点は感じません。
近代経済学者として、今までと同じように突っ走って欲しかった。
でも、人間歳を重ねて考えが変わることはあるしね、誰にも、うん。

2 件のコメント:

しんしん さんのコメント...

まあ、学者も進化するということで。
良いように考えると、
自説を翻す勇気をお持ちであるというのは、
凄いと思います。
いや、読んでいない私がいうので、
適当極まりなしですが。
これから読んでみます。

Curryman 侍 さんのコメント...

しんしん様>この本だけを読むと、ついついうなづいてしまう視点も多く、良書かと思います。

しかし、欧米や新興国と日本との違いを、歴史や文化や宗教にまで関連させて述べている件は、学者が書いたとは評されないレベルと思われます。

でも、読んでみて損した気分にはならないと思いますので、どーぞ。

送りましょうか?

どうやって?

教えてください。