[No.3212]
#16「ロマンシェ」原田 マハ
テストに向けて勉強していたチビ子が言っていました。本が読みたいのに時間がない、と。小説を読む時間も勉強にあてる、と子供ながらに決心して実行していた様子を傍で見ていて、なかなかなものだ、我が娘、と思っていました。
最近、仕事が立て込んだり、なかなか疲れが取れないので早めに寝ようしていたり、以前と比べると通勤時間が少なくなったので、読書の時間が少なくなっていますが、読みたい本はたくさんあります。
これまでもいくつか原田マハ作品を読んでましたが、やはり主人公についつい感情移入してしまいます。この作品の主人公の一人、道明寺未智之輔(ミッシェル)は政治家である父の息子、美術大学を卒業後にパリに留学し、父が進める議員の娘とのお見合いから逃げて、パリのカフェや工房でアルバイトしながら、パリの美術学校への入学を目指します。
女子力の高い美術学生、というよりも心は女子なので、美術大学の同期の高瀬君が大好きですが、その気持ちを伝えられないままです。
中身は読んでのお楽しみ、大事なエッセンスだけをみなさんと共有です。
君が叫んだその場所こそがほんとの世界の真ん中なのだ。
そう、人生の主人公は自分、自分の意思を大事に、自分で尊重することが第一です、と気づかせてくれました。
小説は、バタバタも楽しめる、インナーナショナル、アーティスティック、アクションコメディです。
----- ここから、若干のネタバレあります-----
この小説のようなうまい話は、そうそうないのかもしれません。偶然リトグラフ工房に出入りできるようになり、まさかの世界の巨匠と知り合えたり、雲の上の存在の「あの人」と知り合えたり。そんなにうまくいかない人生、そう言いたくなりますが、この小説、いや原田マハさんがすごいのは、この小説は、フィクションでもなく、実は東京でのリトグラフギャラリーの開催など、事実と連動しながら小説が書かれていた、という事実です。
ギャラリー開催には、何年も前から交渉や調整も必要だそうですが、「度胸と直感」で実現した、そうです。
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