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2012-02-09

読んだ本(2012-#3):疲れすぎて眠れない夜のために

[No.1638]

#3「疲れすぎて眠れない夜のために」内田樹

著者の他言動では?な印象を持つものもあるのですが、
この本は、とても爽快なロジック、分かりやすさ、
理屈も感情も含めた現代社会の根っこにある本質が分かった気持ちになれました。

この本を中身を、より哲学的に、論理的に著すことも勿論可能なのだと思いますが、
これぐらい噛み砕いてもらえると、とても分かりやすいし、そういうことかも、
という納得感も高まります。

言葉のいろいろな誤解、誤解に基づく論ずる者の都合がいいように解釈させようとする趨勢、
また読み手は、言葉の意味や背景を察することなく、論ずる者の都合に乗っかってしまっている軽薄さ、
その趨勢や軽薄さをよしとしてしまう、時代であったり、我々であったり・・・

拙者なりの解釈で例を勝手に書くと・・・
「利己的」
本来の意味はわがまま、自分勝手、ということではなく、中長期的に自分の利益になることを判断し、
行動できる特性のことですから、場合によっては短期的に自分に不利になったり、負担が大きくなることも
厭わない、のです。
短期的な視点でしか考えていない自分勝手=利己的は、とても狭義の意味でしか合致しません。
いつの間にか、利己的ってネガティブなイメージを与えていたりします。
利己的って、実は優れた能力を表現している言葉です。

他には、
・自分探しで、自分は見つからない。
・女性のキャリア志向の根底にある、実は男社会を是認している矛盾
・現代核家族世帯が抱えてしまった、構造的なコミュニケーション能力の低下
・家族や兄弟姉妹は仲がいい、の嘘

いろんな気付きや、なるほど~の思いをしました。

書かれているのは著者の極論でしょ?と断ずることもできるのでしょうが、
豊かな人生、それに不可欠な人と人とのつながりを大事にしたいと考える人には、
とても意味のある示唆に富んでいる本だと思います。

タイトルにあるように、考えてもモヤモヤしてしまう感情と理屈の入り乱れた問題や悩みを持っていても、
安心させてくれる本のような気がします。

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