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2013-03-11

観た映画(2013-#8):アルゴ(Argo)

[No.1947]

#8「アルゴ(Argo)」

1979年の在イランのアメリカ大使館人質事件が題材。
ベン・アフレック監督・主演による第85回アカデミー賞作品賞受賞作品。

パーレビ国王が失脚したイラン革命、放蕩ぶりも一因で追放された国王を、
病気療養を目的にアメリカが入国させ保護したことに端を発し、
イランへ強制帰国させるようにアメリカに迫るイラン。

国王を引き渡さないアメリカに業を煮やしたイランの民衆が在イランの
アメリカ大使館に押し入って、444日も大使館員を拘束しました。
大使館から6名が秘密裏に逃げ出して、在イランのカナダ大使館に非難したものの、
イランの武装勢力の追っ手が迫る中で、イラン国外に脱出を図るわけです。
ベン・アフレック演じるアメリカ国務省のエージェントが考え出したのは
イランで撮影するという触れ込みで、アルゴ(Argo)という映画を製作する、
という制作発表を行い、イランへのロケハンの帰りに6名を同行させる、
という嘘みたいな作戦。でもこれが実話なんですって。

映画は、観ていて迫力あるし、緊張感もあるし、いい映画でした。
さすがにアカデミー作品賞。


拙者が感じたのは、何が正しいか、正義であるか、はやっぱり難しい、ということ。


イラン国民の在イランのアメリカ大使館襲撃は国際条約や国際法上の違法行為だと
思うのですが、放蕩の限りを尽くし国民を苦しめた者を引き渡せ、とイランの国民が
要求するのは、至極常識的な行動であるとも思えます。
冷戦下のソビエト vs 西欧諸国の構図も後ろに見え隠れするわけですが、
石油を西欧諸国と国王のみの既得利益を享受することに、
国民が蜂起するのも、とても民主的な行動であります。

しかし、こうやって映画になると、正義のアメリカ vs 無法なイスラム
という構図にも見えてしまいます。

架空の映画ロケハンというウルトラC級の脱出劇、その立役者であるヒーローと6名を
称えるのもいいですが、あの戦火で何名の尊い命が失われたのかと思うと、
ヒーローものの爽快感はなく、むしろ重たい気分になりました。

犠牲になるのは、争いの現場で生活する権力のない弱者であることの矛盾や怒り、
どうすればいいのでしょうかね。
ベン・アフレックの考えを聞いてみたいものです。

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