[No.2492]
「満足の文化」J.K. ガルブレイス
学生時代に経済学に挑戦した者としては、
アダム・スミス、カール・マルクスを初めとする
経済学の巨人たちの主な功績や著作を知っている、と答えると思います。
私もそうです。
アダム・スミス「国富論」やマルクスの「資本論」から想像するのは、
市場原理に委ねた経済成長や、共産主義における社会科学のイデオロギーの源泉
というイメージが強いです。
しかし、経済学に挑戦した者のうち「国富論」を読んだ人、
「資本論」を読んだ人はどのくらいいるでしょう?
おそらくかなり少数だと思いますし、私も読んでいない方の一人です。
「資本論」は1巻だけ読みましたが、読後のイメージに共産主義はなく、
むしろ科学、生産活動を通じた経済発展と労働者の生活に関する科学を
感じました。
ガルブレイス、身長が2メートルを超えていた経済学の巨人、
名前は知っていたし、功績の概要を知ったつもりでしたけど、
邦訳ですが、初めて著作を読んでみました。
ニューディール政策、サプライサイド、マネタリズム・・・
いろんな経済政策や理論が注目されたりされなかったりしますが、
ガルブレイスの分析は秀逸だと思いました。
富める者はさらに富み、貧する者がそのままになってしまう
社会階層の構造的な精神的な趨勢など、指摘は鋭く、穏やかで、
しかし、ご本人の哲学や情熱を感じることができて、読みやすい本です。
経済学者でありながらも、哲学者のように感じます。
働いて、結婚して、子供が生まれて、家族でワイワイ過ごして、
家族や自分のために、と思える今読んだからこその感慨はあると思います。
拙者は、「満足せる」人生を送りたいとは思いますが、
「満足せる人々」になるのは、嫌だと思います。
どうしたらいいかは分からないけど。
これはお気に入りの本棚に保存、きっとまた読んでみたくなるな、きっと。
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