[No. 3107]
#56「歌舞伎座の怪紳士」近藤 史恵
表紙デザインのポップさとは想像が異なり、いろんな人生の機微を振り返るきっかけになった気がします。
会社を辞めて自宅で過ごしている20代女性、親戚の伯母さんからチケットをもらって、代わりに観劇してほしいと出かけた劇場で、いろんな事件や人間模様に遭遇する短編です。それぞれの出来事に、人生の機微を感じて面白く読めました。
実は、拙者この本を読むにあたり、これまでの近藤史恵作品と同様に読んで楽しくなるといいと思っていましたが、予想外に拙者自身のこれまでのいろいろを振り返る機会になりました。
学生時代からの友人との再会、家族との別れ、肉体的ばかりでなく精神的な仕事の疲れ、人への羨望や妬み、周囲の方々の優しさ、これからの人生の不安や夢について、振り返ったり、考えてみたりしました。まさか、そんなことになるとは予想もしませんでしたが、登場人物の気分になったり、他人の人生を仮想的に実感して思考することこそ、読書の醍醐味でもあります。
20代女性を主人公にしたライトなミステリー、そんな位置付けで手に取りましたが、これはチビ子からのオススメ本です。チビ子は、何を感じたんだろう。
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