フォロワー

2025-02-20

読んだ本(2025-#23):働くということ 「能力主義」を超えて

[No.3660]

#23「働くということ 能力主義を超えて」勅使河原 真衣

優れた洞察には、筋道、根拠が必要ですが、最も必要だと思うのは、なぜそれを話したいか主張したいか、の熱意だと思います。筋道、根拠、熱意をそろえてクールに話すことができればいいな、と常々思いますが、著者はこの本で軽やかに実現されている、という印象を受けました。

サラリーマン、管理職としてのモヤモヤの一端が、明確になった気がします。 

会社での評価や面接で議論される「能力」とは何か、確かによくわからないです。うまく説明できない気持ちもあります。

何か測れるものではなく、これまでの業務経験や知識として持っているだろう情報をベースに期待されるパフォーマンス、が今のところの拙者の「能力」の定義です。あくまでも期待値であって、測れるものではないのに、能力開発とか能力がある、などと日常的に話されていることに、あらためて不思議に気付きました。

よくわからない「能力」の定義が、あたかも測れたり、伸ばせたり、広げられたりするような取り扱いを受けたり、大きいや小さいを比べられている不思議もあります。

個人の特性はレゴブロックのようなもの。いろんな形や色が合って、全体を見ながら組み合わせると、すごい大きな、精緻な、とても小さなブロックの組み合わせと予想を超えるくらいの作品が出来上がる。いいブロックを集めることなんてできないし、意味もない。いいブロックとは何?

ブロックを人材やメンバーに置き換えると、チームをリードする、マネジメントすることと似ていると気が付きます。いい人を見つけるとか、いい人に育てるのではなく、その人にあった役割を考えて役割を果たしてもらうように考えるのが、リーダーの役割です。

著者自身のコンサルティング経験、それもいい人材がいない、足らないけど、と現場で奮闘するリーダーと向き合って交わした会話、なかなか期待された業務ができなくて自信を失っているメンバーとかかわってきたからこその、納得感のある内容です。

「モードを変える」もいいと思います。メンバーの特性に応じて、注意してあげる、具体策を一緒に考える、褒める、方向性だけを提示する、どんなモードで接するか。自分でモードを変える、という方法も拙者には納得感があります。

いわゆる「能力が高い」メンバーを集めることは、実際にはできません。能力って何かわかりませんし。今のメンバーでどうやってパフォーマンスを最大化するか(どんなレゴ作品を作るか)、そのためにはメンバーにどんな役割を果たしてもらいたいか、を考えてメンバーと共有して、よっしゃ、じゃやってやりましょう、てなれればいいんだと再認識できました。

会社や仕事に関わるモヤモヤが晴れた気になれたのは、「会社という迷宮」を読んで以来です。この本の隣に並べておきます。

0 件のコメント: