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2025-04-14

読んだ本(2025-#41):オリオンは静かに詠う

[No.3896]

#41「オリオンは静かに詠う」村崎 なぎこ

チビ子が本屋さんで面白そうだと買った本ですが、先に拙者が読んだ、ということになりました。チビ子の選んだ本、なかなかに面白いです。この表紙であれば、昭和生まれの拙者が書店で手に取る可能性は、高くはないと思います。チビ子のおかげで読めた、ということです。


第1遍は、聾学校に通う女子高生が主人公。近所の喫茶店で百人一首の競技カルタを女主人ママンに勧められます。喫茶店でママンの優しい手話で過ごすのがお気に入り。ママンの姪っ子が、ママンを取られてはならん、と競技カルタで競うことになるとは。聾学校の先生がカルタの読み手の手話通訳をしてくれることになり、何とか1勝をするまでに。

第2編は、ママンの姪っ子が主人公。両親が聾者で理髪店を営業しており、聾者ではない姪っ子う(娘)がお客さんと手話通訳もする看板娘。聾者の両親と過ごす中でも、ママンが優しく見守ってくれているのが、大事な心の拠り所だったのに、ママンが急に聾学校の女子高生に競技カルタの指導をするのを見ました。私にも教えてくれていないに。

第3編は、ママンが主人公。ママンは実は双子。親は聾者の妹ばかりをかわいがり、いつも自分が蚊帳の外。疎外感を感じる毎日の中で、競技カルタに出会いました。歌を紡ぐ言葉の美しさ、読み手としての面白さ、興味深さに気が付きました。人生の岐路で出会った喫茶店を買い取り、一人で来るお客さん専用の喫茶店を切り盛り。

第4編は、聾学校の女性教師が主人公。生徒の競技カルタの為に手話通訳をかって出たものの、自分自身の学生時代には、どうしても気になったままの別れがあり、それが理由で興味を増していく生徒の競技カルタを応援できなくなり。。。

4編の物語、4編のそれぞれの主人公がつながっています。オリオン座の神話とのシンクロも、読んでいてなるほどな感じです。


学生時代の友人と話したあの時、数十年が経過した今思えば、稚拙だったという思いもあるし、本質的には当時から今も変わらず貫いていることもあります。いろんな人との出会いがあり、刺激を受け、別れたり、離れても想いは繋がっていたりしています。実家を離れたり、転職したり、引っ越ししたりした拙者にしてみると、友人に会えること自体が今や奇跡にもなります。会いたいな、と思う友人が多くいるのは、幸せなことだと思いました。

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