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2013-01-29

読んだ本(2013-#5):四度目の氷河期

[No.1917]

#5「四度目の氷河期」荻原浩

父を知らずに17歳までを過ごした少年ワタル。、
母はシベリアで遺伝子研究所の研究員であり、少年を出産後に帰国。
少年自身は、他の子供よりも屈強で大きく、外見も日本人っぽくない。
母の研究と経緯から察するに、ワタルは
どうやらシベリアで発見されたミイラのクロマニヨン人「アイスマン」の遺伝子と
母親の遺伝子との受精実験で生まれたクロマニヨン人の子供だ、と気が付きました。


幼少期は、母親は何を研究しているか分からない遺伝子の研究者だし、
父親のことも分からない母子家庭で外見も日本人ぽくないし、
周囲の住民とも仲がいいわけでなく、友達にいなくて。

そんなサバイバルな生活のワタルの前に現れた少女サチ。
サチも、父親の酒乱+DVに悲しむ女の子。

サチとは中学校時代に少し疎遠になるけど、心のどこかで二人がつながっていて、
ワタルのピンチにはやさしく、サチのピンチをワタルが助けて、
なんとも微笑ましい二人です。

ワタルの心の葛藤、小説とはいえ、親である立場で読むと切なく、また心強く感じます。
親が子供の為にして上げられることはそんなに多くなく、
しかし親が子供を傷つけてしまう可能性はきわめて大きく、
そんなことを感じました。

ワタルにはサチ、サチにはワタルが傍にいて、本当によかった、よかった。
いろんなことに悩む学生が、この本を読んで、ワタルやサチに出会えたら、
前向きな気持ちになれる、そうなるといいなぁ、と思います。

荻原浩作品、また好きな作品が増えました。

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