[No.3297]
#4「ホテルローヤル」桜木 紫乃
いろいろな作家の作品を読んでみよう、直木賞受賞作です。今度映画化されるようですね。
北海道釧路の湿原にある連れ込み宿 ”ホテルローヤル”に関わる人々の悲喜こもごも。著者の実家のが経営されrていた。とのこと。描写はリアリティを感じます。
ホテルの1室という、閉鎖されているが、不特定多数の利用者がいると空間に関わる人たちは、ホテルという場所と時間を共有しますが、境遇や今そこにいる事情や経緯、いろいろです、当たり前ですけど。
いろんな事情の違いが交錯する中にも、人と人の少しずつの思いやりや、温かい気遣いがあれば、人生が豊かになる可能性を感じました。家庭の事情、親の言動の良し悪しで、家族や子供に影響を与えることにも、あらためて考えさせられます。
連作短編集、最初に出てくる物語中のエピソードの背景が、最後の方の短編でじわりとわかってくる感じは、読みながらすぐには気がつけず、時間をおいてジンワリと分かりました。
拙者の性格として、本を読んだり、映画を観た後は、明るい気持ち、ポジティブな方向を向ける気分になりたいものです。ですので、ナンセンス映画、悲しい本や映画はあまり読みたくない、観たくないと思ってしまいます。
しかし、読書も映画も、擬似的に他者の境遇になってみて考察する、という意味において有意義だとも感じます。
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