フォロワー

2023-06-17

読んだ本(2023-#30):ソーシャルジャスティス

[No.3254]

#30「ソーシャルジャスティス」内田 舞

北海道医学部卒、イエール大学医学部で研修医、今はハーバード大学准教授の脳科学者で3児の母、と聞くと、どんなキレッキレの人だろうかと思いました。しかし、読めば、他者の視線に悩み、不合理な常識に立ち向かい、傷つき、育児による睡眠時間の不足や授乳の悩み、夫婦で喧嘩することもあるし、そんな女性でした。

コロナ禍での妊娠と出産、ワクチン接種の是非可否、トランプ政権時のアメリカ国内の分断など、ご自身の肌で感じた問題を、真正面から受けて、どうやって立ち向かえるか、の奮闘記のように読みました。

SNSでの炎上や、傷つけあうようなコメントのやり取りの脳科学的、心理的な分析も興味深かったですし、議論の進め方を変えることで、建設的な話ができたり、できなかったりするよな、という拙者自身の経験ともつながって、一気読みでした。ディベートの盛んなアメリカだからこそ、手法も散々分析されているな、と思います。少しディベートの本も読んでみたくなりました。

・Whataboutism:そういうあなたはどうなのよ、と議論のポイントをすり替える

・Strawman Strategy(藁人形法):反対意見を述べる場合に、仮想敵を作り出す

・Gaslighting: 悪いのは被害者自身が理由、だと思い込ませる

・Ad Hominem: 人格を否定することで、その人の意見を否定する


ニュースや記事を読んで情報を入手することはもちろん大事ですが、自分自身でどう咀嚼するか、理解するか、結果として自分の意見をどう持つか、考え抜くしかない、と再認識です。信頼できる人の意見を鵜呑みにするのではなく、徹底的に考え抜くことが必要です、仕事でもプライベートでも。

・Middle Ground Fallacy:両極端の中間地点が正しいわけではない

・Appeal to popularity / Bandwagon 多数決で正誤は決まらない


自分で考え抜いた結果として、行動すること

・advocacy アドボカシー:望む変化の実現に向けて社会や個人に対して働きかけること


いろんな事に凹みそうになるし、想定したよりも悪い事態になる事だってあります。そんな時には凹みすぎないようにする、いい方法です。

・ラジカルアクセプタンス:起きた事象は、単に事実として受け止める


客観的な事実、その意見やアイデアの背景、実際にどんな影響や事態になりそうなのかの想像、自分自身の思想や信条などとも関連させながら、バランスをとりながら生きていきたいものです。

困った時はお互い様、と言い合える社会、コミュニティになれると思います。自分の権利を主張するだけでなく、時には困っている人のために少し負担が増えたとしても、あまり目鯨立てずに、その人にも事情があるんだろうな、と軽く受け止める感じです。

そんな事していたら、損ばかりするかもしれないじゃないですか、と言われた事もありますが、損得を一番に気にしていたら、本当に大事な物に届かなくなる気がするのです。なので、困った時はお互い様、何か事情があるんだろうな、と思うようにしています。

0 件のコメント: