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2023-09-03

読んだ本(2023-#41):1945年のクリスマス

[No.3301]

#41「1945年のクリスマス」ベアテ・シロタ・ゴードン著

いやーっ、知りませんでした。日本国憲法に「男女平等」を書いたのは、GHQの翻訳スタッフであった1名の女性が主な役割を担っていたとは。

戦後の日本国憲法を、占領軍に押し付けられたとか評する方もいらっしゃいます。歴史的事実をどう評価するかは、いろんな意見があってもいいですが、拙者が感じたのは、憲法はあるべき姿を持った上で、それを実現するために必要な決め事や考え方を文書にしたものです。どんなプロセスで誰が書いたかも大事かもしれませんが、何を目指して決めたルールなのか、の方が大事に決まっています。

オーストリア在住のユダヤ人ピアニストの父と、母の出会いも想像を超えていてびっくりしましたが、日本の音楽家に請われて戦前にすでに日本に住まわれていて、日本語は堪能。お手伝いの女性の姿を見て、戦中の女性や子供のつらさや日本人の信条もわかっていた方が、憲法草案作成の関わっていたのは、日本にとっての幸運だった、と感じます。

男女平等は、当時のフランスやアメリカの憲法にも謳われておらず、当時の日本の内閣や総理大臣が作成した草案にも盛り込まれていませんでした。男女雇用機会均等法など、また現代でも男女平等の取り組みはまだまだのところはありますが、この日本国憲法の草案があったあらこそ、今がある、は間違いないと思います。

拙者も、ルールを変える・作る、ルールを解釈するという仕事をすることもありますが、できることをルールにする、という状況を感じることもあります。特にいろんなメンバーと議論することになりますが、理想だけど実現しない、と賛同を得られなかったり、そのルールで実現することにどんな意義がはあるか、と反論したりします。実現できない理想を目指すルールはダメですけど、あるべき姿の実現に寄与しないルールは無意味、が拙者の持論です。GHQの草案作成スタッフも、いろんな葛藤をしながらだったようです。戦勝国の押し付け、と憲法草案を決めつけるのは、浅はかだと思います。

頑張りたいと思う人には、平等に頑張る機会が与えられ、成果を出した人が報われ、失敗してもまた頑張る機会もある、自己ばかりでなく他社のために役立つことを喜びと感じる人が多くなるように、心と体が健やかであるように、そんな社会を目指したいと考えるのは、日本だけではなく、ほとんどの国がそうなのだと思うのです。国と国が武力で戦う本当の意味とは、何なのだろうか、と疑問が大きくなりました。

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