[No. 3353]
#57「八月の御所グラウンド」万城目 学
東京の皇居は、一般公開されている周辺もありますが、基本的には自由に出入りできない、すべきではない、という印象も強いです。
京都の御所に初めて行った時に驚いたのは、庶民の生活の一部のようになっていて、ママチャリがたくさん走っているし、テニスウェアや野球のユニフォームを着た集団もいて、まさか野球のできるグラウンドがあったり、テニスコートがあるとは思いませんでした。そのうち、公園もある京都御苑の中に、立ち入り制限のある京都御所がある、とは知るのですが。
久しぶりに本屋で長時間過ごすことができたので、面白そうな本はないかとウロウロして見つけた万城目学作品です。2編で構成されていますが、京都の歴史が、現代の日常に絡んでくる少し切ない気持ち、そしてほんのりと温かい気持ちにもなります。
科学的には証明されていない霊的な存在ですが、科学的にはまだ証明されていないだけで、実は何か作用している可能性はゼロではない、と拙者は考えています。
虹の橋を渡った祖母や親戚の面々、母やお世話になった先生などとの思い出を強く思い出したり、なんとなしについつい話しかけていることもありますし。
京都での生活で記憶している地名や通りの名称もふんだんに出てくるので、それだけでも万城目学作品を読むのが楽しいですし、科学的には証明されていない存在を、あまりにも当たり前に京都の生活の中に盛り込んでくる万城目作品。この話もすごいいいなぁ、と思っていたら平積みの場所にポップアップがありました、直木賞の候補作品とのこと。
<2024年1月17日に追記>
6回目の候補作『八月の御所グラウンド』で直木賞受賞が決定しました。受賞おめでとうございます。いつもありがとうございます。
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