[No.3487]
#55「辛夷(こぶし)の花」葉室 麟
恥ずかしい話ですが、作家である葉室麟さんの作品を初めて読みました。仕事のメンバーと話す中で、いい本だと紹介していただいてお借りした、という経緯です。
メンバーとは、会社の組織内外との関係性の構築や、議論の進め方の問題を話すことも多いのですが、拙者の参考になるし、面白い本だとオススメしてくれたのです。
物語の舞台は江戸時代の武家の話ですが、本社と支社、他部署との関係性、上司や部下とのやりとりは、全くもって現代の会社内での関係者やりとりと同様です。
「抜かずの半五郎」こと、小暮半五郎が隣の家に住み始めた時、志桜里が離縁されて戻ってきて、庭先の辛夷(こぶし)の花を見上げた時に二人は出会いました。気軽に食事や喫茶店に誘うわけでもない時代、気になる相手ともなかなか話せないですから、LINEやスマホがある現代は便利です。
なぜ半五郎が抜かないのか、昔の経緯から分かります。義を通す、守る以外には刀を抜くことがないように、と母上に紐で結ばれたのですが、武士の時代で、抜かない、と揶揄されるのは相当に屈辱的なことにです。半五郎は、刀を抜くのですが、「義」とは難しいな、と思います。特に、会社の仕事の中で「義」とは何なのでしょう。
組織の目標、個人の達成すべき課題、OKRやKP、I売上や利益、または短期的なもの、長期的なもの、いろいろな目指すべきものがあります。その中でも、最も大事なこと、大切なものが現代の「義」なのかも、拙者まだ掴みかねております。
武士の「義」とは、お殿様に仕えること、という狭義の「義」もあったように感じますが、「義」とは人間の欲望の「利」の相反する意味を持つとも聞きました。
正しく生きる、よく生きるとは何かを考えることは、自分を見つめ直すこともできると感じたので、これからも考えてみたいと思います。
葉室麟作品を読むことができて、嬉しいです。他に2冊を借りており、読むのが楽しみです。
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