[No.2351]
#29「苦役列車」
幼少期に親の犯罪をきっかけに離婚、一家離散、就学機会の喪失、
人生に希望を持てないまま毎日の日雇いのお金で飲み、打ち、買って
その日暮らしの19歳、男が主人公。
芥川賞を受賞した著者である西村賢太の私小説とも言えます。
将来に具体的な希望を持てないままで、
悶々とする思いや精神的な傾倒には、とても共感できました。
両親と豊かに暮らしていても、将来に具体的な希望を持って、
つかむのは容易い事ではないし、将来って何?はやはり大いなる悩みです。
この映画を観ながら、拙者の学生時代のことを思い出しました。
友人と遊んだり、飲んだり、騒いでいるのはもちろん楽しいですが、
エアコンのないアパートで夏は扇風機をガンガンかけながら、
冬はこたつにもぐりこんで一人の時間、
将来って、どんな仕事しているのか?どんな生活しているのか?
楽しいのか?と考え出すと、不安が大きくなったのは何度もあります。
結局は、不安を抱えながらも何とか方向を見つけて、
何度かつまづいても、立ち上がって、這ってでも進むしかないな、
と諦めたような、心を決めたような心境になって、
やはり不安と少しの希望を抱える毎日でした。
あれから20年が経ったのですが、いろいろありました。
あの不安を持ちながら踏ん張ったから
今があるんだろうでしょうね。
映画の主人公と違って、親のすねに随分お世話になりましたけど。
見た目に品がないし、色欲に流されるし、向上心もないし、
家賃も溜め込むし、だらしないけど、
拙者は主人公に共感できることや場面が、たくさんありました。
おしゃれでもないし、爽やかでもないですが、
青春映画としても、素晴らしいと思います。
主人公の森山未來、すごいです。
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