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2021-01-10

読んだ本(2021-#3):スクラップ・アンド・ビルド

 [No.2720]

#3「スクラップ・アンド・ビルド」羽田 圭介

いろんな作家を読んでみようと思いまして、なんとなく手にしたのは、芥川賞受賞作です。

30歳くらいの青年、半年前に退職し、自宅で母と母方の祖父の介護をしながら資格試験の勉強と、転職活動をするものの、なかなかヤル気も出ずに、、、という日々。

彼女とのデータもおざなり、祖父からは「早くお迎えが来ればいい」の言葉が繰り返され、実父と母の仲違いもあり、というなんとなく気分は晴れやかになりづらい、辛さのある日常です。

日常の中のわずかな変化の兆しを、肯定的に捉えることができれば、挑戦や向上心をあげることもできますが、明るい気持ちになれない、兆しを肯定的に捉えるほどの元気も出ない、そんなことは誰にも起こり得ます。

拙者の経験でもありました。なかなか転職応募が書類通過もしない、田舎の父に何をしてあげられるか考える、チビ子の学校や習い事どうするのがいいか迷う、、、まあいろいろです。

この本を読んで、自分の経験も踏まえて感じるのは、明けない夜はないし、やまない雨もなく、季節は移り変わるし、川や海も一瞬一瞬で変わりゆく、という当たり前です。自然には何も留まっている事象はないので、例え自分自身が迷い元気が出ないしにしても、止まり続けることはできず、とにかくゆっくりでも歩むしかない、ということです。

作家さんに失礼ではありますが、書かれた言葉に無駄がなく、これ以外の描写はないかも、と思える修飾の文、読んでいて心地よいです。

 

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