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2021-07-01

読んだ本(2021-#28):イノベーションのジレンマ

[No.2825]

#28「イノベーションのジレンマ」クレイトン・クリステンセン著

市場のリーダーである大企業が、新しい市場や技術革新の中で、さらなるリーダーになることの難しさ、栄枯盛衰という観念ではなく、組織論、企業の経営決定プロセスや価値判断などの側面から、事例を交えて論じられており、非常に有意義な読書になりました。

アメリカのコンピュータやハードディスク業界の事例が長く語られますが、ハードディスクやコンピュータが小型化する傾向の中で、リーダーである大企業が、次なるマーケットでの勝者やリーダーになれない構造的な要因が理解できました。

企業における成功体験を構成する、意思決定プロセスや判断基準が、一過性のものであることを強く感じます。過去の成功は参考にはするけど、決して依拠せずに、まっさらな気持ちになって判断するくらいの潔さがなければ、イノベーションの中ではビジネスチャンスをつかんだり、成長できない、とも思います。

小さな組織に小さなチャンスを与えて,組織やマーケットを育てるくらいの気持ちが必要で、いきなり利益率や成長率を見てしまったら、過去の成功体験の指標と比較してしまうので、新しいマーケットの成長を待つことなく、断念してしまうのは、会社あるある、でわかるような気がします。

特に気になる箇所を、メモとして抜粋します。

「能力の移行」

組織が設立したばかりの段階で行われることは、組織の資源である人材に依存する部分が大きい。数人のキーパーソンの異動が、組織の成功を左右する。しかし、時が経つにつれ、組織の能力の中心は、プロセスや価値判断へと移っていく。〜

〜成功をおさめた企業が成熟すると、従業員は徐々に、それまで受け入れてきた優先順位や意思決定の方法が、正しい仕事のやり方だと考えるようになってくる。組織のメンバーが、意識的な決定ではなく、思い込みによって仕事の方法や意思決定の基準を受け入れるようになると、そのようなプロセスや価値基準は、組織の「文化」を形成するようになる。数人の企業が数百人、数千人という規模になると、いつも同じように適切な仕事をするために、なにをどのように行うべきかを全従業員に徹底させることは、最もすぐれた経営者にとっても難しい。このような場合は、文化は強力なマネジメントの手段になる〜

 

会社の文化って、諸刃の刃ですね。個人も会社も、常に変化をしようと意識しなければ、今を少しでもよくしよう、たまにはチャレンジしてみようとしないと、あっという間に成熟し、成長できない局面になってしまう、そう確信しました。

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