[No.2829]
#29「1984」ジョージ・オーウェル[訳]田内 志文
とても読みごたえがあり、読み始めた時は、繰り広げられる世界や日常が理解できなかったですが、どんどんハマります。
インターネットにあふれる情報、真偽の分からないニュース、ブログや映えのある写真や記事。意識しないでも、無意識にインターネットやメディアで流れる情報やニュースで、自分自身の判断や思考が影響されているとしたら。
世間体や常識で定義される行動や生活様式、本当に自分が望むものか、目指すものかは、あくまでもいろんな情報やデータを見ながらも自分で判断するものですが、「自分で判断」って、本当は、自分で判断しているのではなく、自分で判断させられているとしたら、そんな話だと思いながら読みました。
物語としては長めです。一文一文も長いですが、第2部くらいになれば、どんどん世界観が分かってきました。個人の言動が監視され、テレスクリーン(おそらくインタラクティブなテレビとカメラの合体)に撮られたり、写ったりしている様子を常に見られており、たとえ家族、友人や恋人との会話であっても見られているし、告発もされます。
事実が、当局の都合によって次々と書き換えられ、過去の歴史も、現状の都合がいいようにどんどん書き換えられて、書き換えられたことが、歴史的事実として置き換えられていることを、違和感なく受け止めて生きる人々。
そんな世界はあくまでもお話の中、ではなく、今の我々の日常も似て非なる状況になる可能性も感じます。
自分で実際を見て聞いて、自分の感覚と他人の感覚の差異も認識しながら、自分自身で決断することが大事だし、それができなければ、得体のしれない恣意的な権力に、弄ばれるぞ、という認識を強く思いました。
いい本に出会えました。
0 件のコメント:
コメントを投稿