[No.3073]
#47「悪意なき欺瞞」ジョン・K・ガルブレイス
通説として捉えられる経済的、社会的事象について、ガルブレイス教授の哲学と冷静な視点での指摘や言葉が、心地よく読めます。
経済学者としてのガルブレイス教授をどう評価するか、拙者は述べるに値しませんので評せませんが、少なくとも拙者には分かりやすく伝えてくれる、素晴らしい著作者と感じます。
1929年の大恐慌の前後を実際に見ていたこと、フォーブス編集者、大学教授、インド大使などを歴任した経験や、実際に見聞きした事実をベースに語られることは、読んでいてとても説得力を感じます。
大学の研究者の方を軽んじるつもりはないですが、実際の現場や実態をよく知っている人の方が興味深い話を聞かせてもらう、という拙者の妄信にも似た想いも関連しているとは思います。
中央銀行がインフレやデフレをコントロールする、金利を下げれば景気を刺激し、金利を上げれば景気を抑制するという、当たり前の正解のように理解しているつもりのことも、実は、というガルブレイス教授の指摘、言われてみればそりゃそうだ、と思えてきます。特に興味深かった章立てをメモしておきます。
- 市場における本当の主役
- 「労働」をめぐるパラドックス
- 企業を支配する「官僚主義」
- 「官」と「民」という神話
- 幻想が支配する金融の世界
「欺瞞」には、剥き出しではなくこっそりと、むしろ見て見ぬふりをするぐらいの消極的な行動でありながらも、自己の利益を手繰るよせるような狡猾さを感じます。
困窮した弱者によるごまかしではなく、権力、社会的地位、資産や知識を持つ者によるズルのように思えます。罰することも出来ず、やるせないですが、きっとお天道様は見ている、と拙者は自分で正しいと思う言動、人生を歩んで行きたいと思います。
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