[No.3232]
#23「NUDGE 実践 行動経済学 完全版」リチャード・セイラー / キャス・サスティーン著
学生時代に経済学を学び、当時、価格や賃金の経済理論が理解できず、落ちこぼれ的な感情を味わったままで社会人になりました。
マーケティングや広告制作に関わるようになって、学生時代に感じた違和感が、間違ってもなかったんじゃないか、と思えるようになった時に、知った言葉が「行動経済学」でした。荒っぽく捉えると、一人の人間の経済活動を捉えた時に、経済的に合理的な決定を行うよりも、衝動的だったり、勘違いして判断していることも結構ある、って感じの学問です。
拙者が学生の頃の日本では、行動経済学というキーワードで考えたり、読んだりしたことはありませんでしたが、アメリカでは昔からの社会調査や実験、ハーバードメン調査に見られるような長期的な観察実験・研究が、行動経済学という領域を意義あるものにしていたのだと思います。
NUDGE(ナッジ)とは、像が鼻でソッと押して小像に気づかせてあげる、そんな行動のことです。強制力はないし、強烈なメッセージではないけど、促してあげる行動や仕掛け、といったところです。
複雑な保険や年金制度の選び方、男性トイレの小便器の汚れを少なくする蝿ペイント、臓器提供、なかなか世界レベルで成果が出てこない環境問題への取り組み、それぞれの課題を行動経済学の視点で捉えて、NUDGEなアプローチでの解決も見えてきて、とても読後がワクワクの気分です。
ノーベル経済学賞の受賞者の著作を、日本語で読める、444ページを2,300円で我が知識とできるのであれば、何とも効果抜群のお金と時間の使い方だと思います。
特に気に入った、気になったキーワードをメモしておきます。
- 「選択の自由」と「選択肢が多い」は、多分同義ではない
- スマートディスクロージャー
- 選択アーキテクチャー
- スラッジ:ナッジの悪用
- よりよいデフォルト
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