[No.3318]
#47「ペッパーズ・ゴースト」伊坂 幸太郎
wikipediaによりますと---
ペッパーズ・ゴースト(英語:Pepper's ghost)は、劇場などで使用される視覚トリックである。板ガラスと特殊な照明技術により、実像と板ガラスに写った「幽霊」を重ねて見せることで、効果を発揮する。実像と「幽霊」はぶつかることなく交差し、照明の調整により「幽霊」を登場させたり消したりすることができる。イギリスの王立科学技術会館(Royal Polytechnic Institution、現在はウェストミンスター大学(University of Westminster))の講師(のちに館長)であったジョン・ペッパー(John Pepper)に由来する。
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久しぶりの伊坂幸太郎作品、忙しい時に限って猛烈に読みたくなる症状を、なんとか堪えつつあれやこれやを乗り切りながら、空き時間に読みました。よかったです。
拙者が伊坂幸太郎作品に感じる、登場人物が抱える不合理だけど、本人ではどうしようもない辛さや悲しみを、受け入れてどうにかする、という情景を本作品にも感じました。
法律で罰されることはないけど、そんなことしたら許されない、ということ、罰せられたとしても軽微な罪状になるけど、どうかしてそんな悪者や、軽薄な悪人を、「大岡越前」や「江戸を斬る」のように退治できたら、どんなにいいだろうか、とも思えてしまいます。
この作品は、多重に物語が進行します。クシャミの飛沫を吸い込んでしまったような相手の、将来起こる出来事をその人の目線で「予告上映」を見ることができる特殊能力を持つ中学校の先生、不思議な小説を書いている教え子、最初に読み始めた時に想像した物語と、実際に読み進める物語の大きなギャップ、それ自体も惹きつけられる面白さです。
絶望的な、やるさない悲しみや辛さもあるのが人生。その現実を真正面から受け入れ、小説という仮想現実で、前を向いていける強さに昇華させてくれている、と伊坂幸太郎作品に感じます。作者、ご本人には聞いたことないですけど。
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