[No.3361]
「その扉をたたく音」瀬尾 まいこ
これまで5冊の瀬尾まいこ作品を読んでいますが、拙者、瀬尾まいこ作品が好きなんだと思います。
登場人物への感情移入が、とてもアッとい言う間なのです。本作の主人公”宮路”にも、猛烈にすぐに共感できました。
大学卒業後、就職もせず、アルバイトもせずに、父親からの仕送り20万円で得に何もせず7年間生活する宮路(男)。
ひょんなことから、老人ホームを訪問し、水木というおばあちゃんの使い走りみたいになって、毎週通うようになって、老人ホームのおじいちゃんおばあちゃんと交流するようになって。わずかな特技のギターが、ウクレレを弾けるようになりたいというおじいちゃんの希望となることもできました。
拙者は、母方の祖母にべったりと一緒に過ごしていて、父方の祖母も近所で毎日のように会っていたこともあり、おじいちゃんやおばあちゃんと過ごしたり、話したりすることが好きです。また学校卒業後に1年間のブランク期間があり、父や母の気を揉ませたことも若い時分の思い出にあり、主人公宮路の気持ちに勝手になっておりました。
高齢者にとっての1日と、事情があろうとも若者が無為に過ごす1日は、同じ24時間であっても、濃度が違うし、出来ることの量や密度も違います。拙者も体調が悪く寝込んでいる時に、日々の健康を有り難いと思えますが、今、ここにいられることを常にありがたい、という気持ちになれていません。
母方の祖母を亡くして、朝早く縁側から外を眺めていて、いつもと同じように自転車で通学する同級生を見て、俺はこんなに悲しいけど、他のみんなにとっては何の変化もない、いつもの日常であることを、中学生で知りました。
常に全力で何かを頑張り続けることはできませんが、いろんな不平や不満があったとしても、今こうやって過ごしていることに感謝を忘れない、は2024年以降の大事な気付きにしたいと思いました。
0 件のコメント:
コメントを投稿