[No.3534]
#69「トーキング トゥ ストレンジャーズ」マルコム・グラッドウェル
直接会えば、直接会わないよりも相手のことを知ることができる、という前提で生きてきたし、仕事もしてきましたが、会ったからと言って、相手のことを知ることができるとは限らない、ということを強く認識した本です。
より正確に言うのであれば、会ったからと言って相手を知ることができるとは限らない、ということです。
アドルフ・ヒトラーに会ったイギリス首相だったネビル・チェンバレンは、ヒトラーを知り合いになった、彼の言っていることは信頼できる、と判断してしまいました。チェコスロバキアへの侵攻のみならず、ヨーロッパに侵略を拡大する意図を持っているとは、まったく見抜けなかった。
アメリカ国防情報局(DIA)の分析官アナ・ベレン・モンテス、中南米のスペシャリスト「キューバのクィーン」とも呼ばれていたが、キューバに情報を漏洩する二重スパイであったことも、周囲は全く見抜けなかった。
基本的な反応として、人のことをまずは肯定的に信用しがちである。聖職者による幼児への性的虐待などは、典型的な例とも感じます。
相手を全て疑ってコミュニケーションをすることは、しんどいし、人生がつまらなくなると思います。疑うとは言わずとも、安易に信用しない方がいい、それも、経済的にインパクトのある事象、国防や信用に大きな影響を与える可能性がある場面、本当に信用しても大丈夫か、という厳しい視点が必要だとは思います。
仕事の面接で応募者と会うこともありますし、メンバーに任せても大丈夫か判断する時も、程度の差はあれ、見た目の印象ではなく、提示されている実績や事実からきちんと判断する必要がありそうです。
なんとなく信用できそう、はあまりいい結果にならず、なんとなく疑わしい、と感じたことは、疑わしい可能性が高そうだな、が読後の感想の一つです。
0 件のコメント:
コメントを投稿