[No.2844]
ご縁がありまして、十一面観音像を拝見する機会を得ました。
山や岩、川や森林を神と崇めた信仰の時代を経て、聖徳太子の時代に、仏教が伝来したわけです。
どうやら奈良時代には、八百万の神々と、仏様を同じように拝んでいたみたいです。以前、京都の三十三間堂の千体の仏像を観た時にも感じたのですが、その昔、仏様と神様は同じように崇められていたと思うのです。
インドの神様の像も、仏様の像も、同じように作られて信仰の対象とされています。
人がそれを神と呼ぶのか、仏と呼ぶのかの違いだけなのかもしれない、が拙者の仮設でもあります。
アメリカの哲学者フェノロサが、明治期に訪れ、見惚れた秘仏としても有名です。立ち姿を真横から拝見しましたが、シュッとした美しい佇まい、背骨がS字を形成し、ミロのヴィーナスにも匹敵する、というコメントもうなづけます。
木彫りの仏像ではなく、木の粉を粘土のようにして形成し、中を空洞にしてあるそうです。木心乾漆像と言います。側で拝見しても、木彫りには見えないなと思ったのですが、木の粘土の彫刻、と言えます。
無駄なものがない、シンプルなのに柔かい印象を受けるのは、素晴らしい芸術作品に共通だと感じました。
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