[No.3402]
#17「自分の運命に盾を突け」岡本 太郎
拙者が「岡本太郎 三部作」と勝手に読んでいる1冊です。雑誌の連載悩み相談に答えたものが書籍化されたものです。
三部作の2作目ですが、拙者は最後に読みました。1作目は「自分の中に毒を持て」、3作目は「自分の中に孤独を抱け」でしたが、今回の本にも心が動かされます。
岡本太郎氏は自分の作品を売ったことがない、売ろうと思って作品を作ったことはない、と言い切っています。買おうとする人に好かれる作品を作るのではなく、自分が作りたい作品を作る。誰かに売って、誰かの家に置かれるよりも、公共の場において、いろんな人に見てもらう方がいいに決まっている、と。
岡本太郎氏の作品が、いろんな公共の場にあるのはそんな理由もあったのか、と分かりました。また作品のエネルギーは、誰かに家の中に置かれていてはもったいない感じもします。
社会的な地位や、金銭的な成果や報酬は重要ですが、それらに執着しすぎたり、最重要と捉えてしまうと、自分らしく生きる、豊かに生きるから乖離してしまうことも実感を持てます。
自分で選択したものの、生きる、食べるもままならない、となるのは豊かではないですし、バランスのとり方が難しい気はします。
摩擦をおそれて、自分の意見を言わず、ただ周囲に協調するだけでは、自分らしさなんてなくなります。
失敗したっていいじゃないか、またやってみればいいし。自分の意見をいう事も大事だし、相手の言い分に耳を傾けることも大事でしょ、と言っていただいているようで、厳しいタイトルとは裏腹に、岡本太郎氏の優しさや温かさも感じるのです。
この本を、中学生や高校生で読んだら、自分だけでは消化しきれないと思います。岡本太郎は勉強しなくてもいいって言っているわけではないですが、学校制度や社会の評価制度の問題や課題をエネルギッシュに批判していますから、学校で勉強しなくてもいいって勘違いしてしまう可能性もあります。
学生を経て、社会で奮闘するサラリーマンこそ、この岡本太郎氏の言葉を真正面から受け止めて、悩んで実践するところに、人生の豊かさやあらゆる意味での自己実現があるように思うのです。再度行ってみようと思います、岡本太郎氏のアトリエに。
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