[No.3948]
#63「天才を殺す凡人」北野 唯我
1987年兵庫県生まれ、神戸大学経営学部卒業。
就職氷河期に博報堂に入社。
著者紹介に書かれている一節ですが、著者自身が何かを意図を持っていると思うのです。就職の大変だった時期に、就職人気ランキングの広告代理店に就職した、という自負なのか。就職氷河期を経験したが何とかなりますよ、というポジティブな応援のメッセージなのか。
ビジネスマンとしての経験からくる想いを言語化しようとして、4年くらい前から自分で言い出したことに「最適解は多数決からは生まれない」があります。特に中長期的な取り組みに関して、費用対効果などがキラーワードになってアグレッシブな提案や変化をもたらすことが難しいな、と思ってました。
本屋さんで不意に見つけたこの本、私が言語化したことよりも、より広く、深く、具体的にきちんとまとめられている、という印象です。犬が言葉を話してアドバイスしてくれるあたり、インドの象の姿をした神様のあのシリーズと似ている、という印象もありますが、読んで面白いです。
「天才」「秀才」「凡才」とは人格を表しているというよりも、人の側面や特徴を意味しています。天才の人、ではなく天才的な独創性とか、秀才の人、ではなく、再現性のある努力できる性格とか、凡才の人ではなく、他者と共感すること、というような感じです。誰しも、「天才」「秀才」「凡才」の特性を持ち合わせているのですが、多数決では天才的な独創性は支持されず、秀才的なプランではイノベーションは起きず、凡才的な発想ではチャンスを見つけられず、は想像に難くないところです。じゃあどうすれば、新しいチャレンジを組織の中で実践できるか、のヒントは書かれているように思いますので、オススメです。
















