[No.3327]
#49「冷蔵庫を抱きしめて」荻原 浩
「現代を生きる人々が抱える心の闇に焦点をあて、そこから主人公たちが自分の足で陽のあたる場所へと新たな一歩を踏み出すまでを描いた短編集」、とは、この作品の読後の解説で藤田香織氏が書かれた文章です。
この読後の解説に、猛烈に同意です。8つの短編はいずれも何かの困難性を抱えた主人公です。明るく楽しく元気、というよりも、いろんな不合理や不条理に囲まれながら、ちょっとだけ勇気を持って行動してみた、という拙者も等身大に感じる登場人物です。
拙者自身も、会社の同僚に知られている面もあれば、知られていない面もあるはずです。拙者が知らない同僚の特性や、奮闘している事情もあるのだと思います。みんながそれぞれに抱えている苦労、悲しみや辛さも、こうやって荻原浩作品になれば、読後に少し爽やかな気持ち、明るい前向きな気持ちなれるから、やっぱり荻原浩作品は素晴らしいのだと思います。そりゃそうです、直木賞作家です、拙者が言うまでもありません。