[No.3197]
#13「冒険の書」孫 泰蔵
「なぜ勉強をしなければならないか」と質問されたら、どう答えますか?結論的には勉強を頑張った方がいい、安定した豊かな暮らしを実現するためには、いい学校やいい会社に入った方がいい、って言いますか?勉強やりたくなければ、やらなくてもいいし、自分で道を切り開けばいい、と答えますか?
そもそも「安定した豊かな暮らし」とは?、「いい学校」や「いい会社」って何のことか拙者もまだよく分かっていません。
学生時代を経て、サラリーマン生活を過ごしても、なおモヤモヤしていました。そんなモヤモヤを整理したいと思っていたら、偉大なる先輩から「冒険の書」(孫泰蔵 著)を紹介いただき、ようやく読了。
大人だって、明確に自分の意志や判断で物事を決定するばかりではなく、誰かの何かの見解に依拠することも決して少なくないです。誰か信頼できそうな意見をマネすることで、精神的な負担を減らしたり、失敗した場合でも許してもらえそうな言い訳にしたりもしているでしょう。
しかし、我が子や大事な知り合いから、なぜ勉強するかと問われれば、自分なりの意見や考えを説明することができる、そんな人間でありたいと思います。
なんで、なんでと5回くらい問い続けるくらいしないと、本質的な判断も決断もできないのは分かりますが、一般的に~という枕詞の後の定義や意見を、おそろしいくらいに疑うことなく受け入れている事態が、日常で多いということも再認識です。
この本では、哲学的なアプローチ、社会における教育の意義や学校制度の変遷、才能や会社における”能力”に関しても、目から鱗が落ちる当たり前な事実などを確認しました。モヤモヤがスッキリと晴れてはいないですが、モヤモヤの向こう側にある自分の目指す方向は見えた気がします。この本を紹介してくれた偉大なる先輩に感謝。
なぜ勉強をしなければならない、の問いに答える前に、そもそも勉強とは何かをきちんと捉えるべきと思います。学校や塾で学ぶことは狭義の勉強です。
まずは広義な勉強を問えば、生きるためには勉強をせざるを得ない。食べられないし、生活するにも知恵や先人の教えを活用した方がいいし、他人のいろんな経験や聞いたり、真似してみたり、実践することが勉強である、と私は捉えました。
アンラーニング、これまで学んだ大人も、これまでの経験や知識に縛られずに、既成の知識や先例にとらわれず、新しい知識、技術や視点に興味を持って考え抜く、ことも大事だと気付かされます。この本の「冒険」とは、大人に向けられた応援メッセージだったんだ、と思っています。
88歳の父が読んでどんな事を感じるか聞いてみたいので、実家を送付先にしてオンラインでもう1冊購入しました。