[No.3309]
#44「最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか」大西 康之
長くビジネスマンとして働いていると、振り返って考えてみることが増えます。自分自身の中で働く目的も変わっていますし、できることも、求められることも、興味があることも変わっていきますから当然だとは思います。
いい会社、いい仕事、と表現されることに高校生の頃から違和感を感じていました。周囲の大人だったり、学校の先生や友人だったりもしましたが、誰から見た”いい”なのか、何が”いい”のか、”いい”となぜメリットがあるか、など、屁理屈じゃねぇ、と時々母に呆れられましたが、自分で”いい”と思うものを見つけて、手に入れられるように自分で頑張れ、が我が家の基本方針だったと思います。
父が公務員、母が国家資格の仕事をしていたこともあり、母はいわゆる安定した公務員や教師を勧めていたように記憶しています。実際に、大学2年まで教員免許に必要な単位も取っていました。
大学2年の時くらいから、興味を持てる学級分野やトピックに出会ったので進学することを目指して進学。その後の就職活動では大きな挫折を味わいましたが、その時から、自分のやりたいことと、できることと、求められることをどうにかつなげること、関連付けることで自分のビジネスマンとしての競争力が高まりそうだ、という仮説を持つようになりました。
その仮説には、「安定」という概念はあまり関係ないのです。結婚する時には、もう転職することが決まっていましたが、結果的に大規模な企業への転職でしたが、大規模で安定している、が選定の大きな理由ではありませんでした。自分のやりたいことと、できることと、求められることがつながった結果でした。
楽天の三木谷氏がドライブしている経営は、創業者だからこその意志決定によるものだと思います。2期6年で退任することが前提の社長では、実現できないと思います。
何のために経営者であるか、を問われると、他の社長とは一線を画しそうです。会社の利益を上げることは当然大事だけど、それが最大の目標でも目的でもない、と感じさせてくれるのは、”いい”に違和感を感じてきた拙者は、なんとなく共感できます。
何か成果を出そうとするのであれば、準備はもちろん頑張るが、万全の準備完了が出来なくても、踏み出す覚悟が必要、と拙者は思います。不十分な準備でもやればいい、ではなく、何が何でもやりきる、というグリット(GRIT)も準備と同じかそれ以上に重要だとも思っています。
数少ない世界に伍する可能性のある企業とも思います。何をこれから実現していくのでしょうか。