[No.4073]
#6「楽園の真下」荻原 浩
久しぶりの荻原浩作品の中のスリラー物です。南の離島で自殺者が相次いでいることを不審に思ったライターが、島に渡って気づいたのです、とてつもなく大きなカマキリが蠢いているのではないか、ということに。
カマキリに寄生するハリガネムシもストーリーに絡んできて、ジュラシックパークを超えるような怖い作品になっているような気がします。
今までも荻原浩作品をいろいろ読んできましたが、あまりないタイプの作品だと思いました。
[No.4073]
#6「楽園の真下」荻原 浩
久しぶりの荻原浩作品の中のスリラー物です。南の離島で自殺者が相次いでいることを不審に思ったライターが、島に渡って気づいたのです、とてつもなく大きなカマキリが蠢いているのではないか、ということに。
カマキリに寄生するハリガネムシもストーリーに絡んできて、ジュラシックパークを超えるような怖い作品になっているような気がします。
今までも荻原浩作品をいろいろ読んできましたが、あまりないタイプの作品だと思いました。
#71「海馬の尻尾」荻原 浩
恐ろしさを感じなかったり、他人の喜怒哀楽を認識したり共感できない場合、肝っ玉が太いとか経験的な特性ではなく、脳内の原始的器官である海馬とか、海馬の尻尾と呼ばれる小器官の機能不全が原因かもしれない、と判断された主人公。3年の懲役を終えて出所した反社会的勢力の1名。
舞台は、2度目の原発事故の影響で、不安を抱える大勢がいる社会です。極秘裏に不安を煽ったり、抑制しようとする心理実験や治験が行われていることは、機関の一部の者しか知りません。
主人公は、暴力的で残虐さが恐怖を感じないこと、アルコール中毒の治療も兼ねて、組長の好意で検査と入院をすることになりました。過酷な幼少期や両親からの愛が不足した年月が原因ともなって、恐怖を感じない、他人の感情を考慮することもないと思われていました。
病院の待合室で、急に懐けれた小さな女の子。彼女も脳の特性や疾患に関する治療や入院をしている様子。シングルマザーのママ、女の子の付き添いに元気がない様子を、主人公が気にするようになります。女の子と絡むのが最初はうざかったのに、徐々に気になり始めて、女の子の元気のなさが、主人公の感情認識に変化をもたらします。
物語は一気に読んでしまいます。騙し騙され、本当に信頼できる仲間とは誰かのか?組長か? 組の後輩か? 入院部屋の同居人か? 診察して治療してくれる医師か?
守りたい存在ができれば、パワーも出るし、生き甲斐も出てくるのだと思えます。主人公のその後が気になります。どうか笑顔が多い日々を送ってくれているように願います。
#67+#68「砂の王国」(上)+(下)荻原 浩
証券会社のトレーダーだったけれども、いろいろあって奥さんに出て行かれて、ホームレスになった男性が主人公です。ホームレスの縄張り争いや、食事や防寒グッズを奪い合ったり、分け合ったりの中で、ホームレスになってしまったことへの絶望とちょっとした失敗や諦めの連鎖で、ホームレスになる可能性も感じました。
長身のイケメン、口数のすくないホームレスが、近所のコンビニやお惣菜の期限切れ前のお弁当などをよくもらえていました。辻占いで稼ぐ男は、占いのサクラを主人公に依頼し、鑑定のお客1人につき100円をもらうことになりました。占いのお客さんの身なりや言動から、悩みや背景を予想するテクニックと話術を見て、主人公は閃きます。イケメンを教祖にして、辻占いの男が教義や教祖のコメントを書き、主人公が新興宗教の設立や運営をすることを。
口数の少ないミステリアスなイケメン教祖に集まる女性信者、信者間でのお布施競争、信者を煽る教義など、アッという間に教団勢力が拡大し、教祖、辻占い、主人公の目指すものにギャップが出てきて・・・。
主人公が証券会社にで働いていた時に、いろいろ仕事のプレッシャーや不安もありながら奮闘していました。奥さんを責めることにできなかったことは話の中で分かるのですが、主人公がもっと奥さんに胸襟を開いて話していれば、主人公がホームレスになることはなかったんだろうと思うと、人生の岐路はちょっとした事情をきっかけに、大きく変わるんだろうな、という想いを強くしました。
[No.3609]
#2「夏のカレー」現代の短編小説ベストセレクション2024
三浦しをん、荻原浩、原田ひ香さんというお気に入り作家の他にも、すぐれた短編をまとめて読める、と手に取ってすぐにレジに並んで購入しました。
短編なので、シュールな気分、少し物悲しい結末になることも多くなるのかな、と印象を受けました。
短編では、背景や経緯を最小限に削ぎ落して書くのか、わずかな情報から想像を膨らませるのは、わびしさやさみしさの方が相性がいいのかもしれません。
表題にある「夏のカレー」、学生時代、社会人になってから家族が増えてきた今読むと、いろいろ思い出します。いろんな人と出会い、離れたり、それっきりだったり、再会したりするのですが、それも含めて御縁かと思いました。
大人になってからは、友達がなかなか増えるものではない、が実感です。仕事の仲間と友達は違いますし、仕事や利害関係のない付き合いも、テニススクールくらいです。稀に仕事で知り合った中にも、友達だと思える数人がいるのはラッキーです。
短編のハッピーエンド作品集、あれば読んでみたいです。
[No.3982]
#11「ワンダーランド急行」荻原 浩
コロナ禍で連載されていた小説のようです。電車に乗って、会社に行って、という日常が大きく変化したのはコロナウイルスがきっかけでした。
会社に始業時刻に遅れないように電車に乗って、疲れて会社について、周囲に目のある環境で仕事する。他人の目のない場所、ましてや在宅での仕事となると、社員がちゃんと働いているかをどうやってモニターするか、なんてことも真剣に議論されたり、ITツールの導入を検討していたことも思い出されます。
いつもと逆報告の電車に乗って降りると、自分がこれまで過ごしていた現実と、少し違うパラレルワールドに迷い込んだことに気が付きました。奥さんとの関係が変わっていたり、会社内でのポジションが違っていたり。元の世界に戻ろうとすると、また違う世界になっていたり。
タイムマシンやパラレルワールドが実在するとすると、いろんな思いがありますね。やり直したいこと、チャレンジしてみたかったことがゼロとは言いませんが、やはり後悔しないように、いろいろやってみる、なんだろうなと思いました。
今まで読んできた荻原浩作品の中では、登場人物にあまり感情移入できませんでした。好きな荻原浩作品の特徴は、何とも決断しきれないやるせない選択肢を前に、女々しくも、あれこれ考えて行動してみる潔さのある登場人物に感情移入してきた傾向があることに気が付きました。
ギブ・ミーア・チャンス、ハードボイルドエッグ、花の桜通り、なかよし小鳩組、誘拐ラプソディー、四度目の氷河期、愛しの座敷わらし(上)(下)、、、好きになった作品がいろいろあります。確かに、結構な作品数を読んできましたね。また読んでみてもいいですね、きっといい感じで忘れていて、面白さや感動を再生産できそうな気がします。
[No.3967]
#4「逢魔が時に会いましょう」荻原 浩
ついつい一気読みしてしまう荻原浩作品ですが、今回も一気読みでした。「愛しの座敷わらし」の続きの話を読めるような気持ちになって、嬉しい本です。
座敷わらし、河童、天狗の民俗学の研究者と学生のフィールドワークですが、地域の伝承と民俗学と科学的研究のギャップそのものが拙者も興味が湧き立つのを感じるところです。
座敷わらしとは、夭折した子供だと言われたり、河童はカワウソの見間違いと言われたり、事実は何なのか決定的な結論には今も至っていない、と思える方がいろんな洞察自体を楽しめる気がします。
逢魔が時、とは、夕暮れや黄昏時、あの世とこの世が交錯するとも言われる時間。いろんな存在が行き交う、いろんな存在のことを気に掛ける方が、いろいろ面白いとも思うのです。
それにしても、荻原浩作品、拙者はどんどん読みたくなります。まだまだ読んでいない作品はありますし、これからもいろんな作品が楽しめると思うと、読書を楽しいと感じられることを喜びたいと思います。
[No.3923]
#51「幸せになる百通りの方法」荻原 浩
人間はみんな平等、と表現することはもちろん可能ですが、現実社会や生活では、家庭環境や政治や経済の流れによっても困難が発生しますし、決して平等な環境でもないし、公平なコンディションでもありません。
拙者も年齢を重ねると、嬉しいこと、悲しいこと、ラッキーなこと、ついていない事、いろいろありました。気分がなかなか盛り上がらない、体調もよくないという時もありましたが、経験的に、睡眠が最も心と体の健康に大事な気がします。次に食事です。少しでもいいから、バランスよく食べること、そして、出来たら体を動かすことです。
こんな拙者も、テニスにも行きたくなくなった時もあるんです。寝る前にストレッチして、体を伸ばして、睡眠時間を少なくても6時間確保していれば、何とか元気も出てきます。
体調がよくないと、仕事もいろんな事も頑張れない、が実感です。
この本の登場人物、本人の事情だったり、後悔のある過去の決断が理由だったり、いろんな困難を抱えながらの毎日です。大岡越前、水戸黄門や暴れん坊将軍が来てくれて、アッという間に解決できることは、現実にはありません。
荻原浩作品、とても好きなのでいろいろ読んできましたが、拙者が好きな理由が自分で分かりました。残念な状況にある中でも、気持ちだけは前を向いて、顔をあげていると、そのうち元気も出てくるし、味方も見つかるし増えるし、絶望をしないでいると何とかなる、という気持ちにさせてくれるからだと。
いろんな幸せがあります。誰かに評価されるものではなく、あくまでも自分で自分が幸せだと、安寧や豊かさを感じられる方法があるはず、と思えるのです。
拙者もまだまだ頑張れます。夢もあるし、希望もあるし、やりたいこともたくさんあります。自分のために、家族のために、友人や知人のために、誰かの力になれる人間にもなりたいです。
[No.3920]
#49「冷蔵庫を抱きしめて」荻原 浩
「現代を生きる人々が抱える心の闇に焦点をあて、そこから主人公たちが自分の足で陽のあたる場所へと新たな一歩を踏み出すまでを描いた短編集」、とは、この作品の読後の解説で藤田香織氏が書かれた文章です。
この読後の解説に、猛烈に同意です。8つの短編はいずれも何かの困難性を抱えた主人公です。明るく楽しく元気、というよりも、いろんな不合理や不条理に囲まれながら、ちょっとだけ勇気を持って行動してみた、という拙者も等身大に感じる登場人物です。
拙者自身も、会社の同僚に知られている面もあれば、知られていない面もあるはずです。拙者が知らない同僚の特性や、奮闘している事情もあるのだと思います。みんながそれぞれに抱えている苦労、悲しみや辛さも、こうやって荻原浩作品になれば、読後に少し爽やかな気持ち、明るい前向きな気持ちなれるから、やっぱり荻原浩作品は素晴らしいのだと思います。そりゃそうです、直木賞作家です、拙者が言うまでもありません。
[No.3908]
#46「海の見える理髪店」荻原 浩
拙者にとって、荻原浩はお気に入り作家の一人でして、これまでも、拙者にしては多読している作家さんの一人です。
久しぶりに、チビ子におススメの本はないかと聞いたところ、チビ子の蔵書から持ってきてくれたのがこの本でした。いつ買ったん? と聞いたら、この本いいって思ったから買った、ですって。
拙者も齢を重ねたからでしょうか、人との出会い、別れ、遠のいた関係性や時間、そして再会、といろんな経験があります。そんな切なさや、感動、喜びなどを荻原浩作品に感じることがあり、ホッコリした気持ちになれるのが、好きな理由の一つだと思います。
本作も一気読みでした。チビ子がいうように、一遍目が最も印象に残ります。
読み始めたけど、どうしても読み進めない一編がありました。作家さんにも申し訳ないけど、拙者はあの一編を読まない、読めないと思います。悲しくなりすぎる、必要以上に落ち込んでしまうのがわかるので、すいません。
[No.3670]
#49「それでも空は青い」荻原 浩
拙者のお気に入り作家のお一人でもある荻原浩氏、本屋さんで見つけてしまった新作を手に取ったら、そりゃ購入して読むしかありません。
人の怠け心や甘えたい気持ちと、それでも少しだけ勇気を出したり、誰かを助けようとする機微なバランスを、心くすぐられるように書かれているような印象です。
家族、友人、夫婦、先輩や後輩、同僚、部下や上司、いろんな人間関係があります。いつでも良好である訳でもないし、分かり合えないこともあれば、言わなくても通じることもあります。
先日、学生時代から続く2名の友人と、深夜残業に該当する時間に2時間半ほど、ZOOMで顔を見ながら話しました。お互いの仕事のキャリアはいろいろ異なりますけど、異なるが故に自分で思いつかない視点や切り口も知ることができて有意義ですし、楽しい時間です。
人生の豊かさに思いを馳せることも多いのですが、何をどれくらい所有するかも大事ですが、素晴らしい友人がいること、は間違いなく豊かさと思います。
相談したくなる先輩、頼りにしてくれる後輩、よっしゃ頑張ろうと思わせてくれる家族がいてくれるのは、嬉しいです。
[No.3534]
#7「金魚姫」荻原 浩
久しぶりの荻原浩作品であるし、464ページあるので買ってはみたものの、読まずに置いといたのです、読み始めると止まらなくなることが予想できていましたので。
ついつい1日のいろいろを終えて、お風呂からあがって、自分の椅子に座った23:00から読み始めてしまいました。ちょっと片付けとか、歯磨きとかで中断しながらも1:30AMくらいまで読んでしまい、慌てて寝ました。翌日と翌々日の隙間時間を、この本の読書にあて、一気読みです。
三国志の時代の中国の美女が、恨みを残しながら金魚に生まれ変わり、人間と金魚と生きる長い歴史を経過して現代。ブラック企業の営業マン、デキない社畜の男が、祭りの夜店で金魚すくいしてから、数奇な金魚でありながら時々人間になる女性との数奇な同居の一夏の物語。
歴史SF物という印象を最初に感じてしまったのですが、違和感なく金魚↔️女性に変わる存在との同居生活も感じられて、つまり一気に感情移入して読みました。
もし、生まれ変わりや連鎖、輪廻転生と呼ばれるような現象があるなら、と思いを馳せながら、感情移入はさらに強まります。
この本をハッピーエンドとするか、悲しい終わりとするか、両方の意見や思いがあるように感じます。 拙者が感じたのは、主人公たちが納得できるいい終わり方、と思いました。
映像化したらどんな感じだろうと思いまして調べたら、NHK BS プレミアムドラマで放送されたことがあるとわかりました。 主人公の一人、金魚姫には瀧本美織さんです。雰囲気が合うなあ、と思いました。見たいような、本で感じたままにしておきたいような、両方の気持ちであります。